PROFILE登壇者プロフィール

DAY 1

第1日目|1月29日(金)
きぼう利用の最新状況と今後の展望

佐々木 宏

佐々木 宏

JAXA/理事・有人宇宙技術部門長

1987年、宇宙開発事業団(現JAXA)に入社。HOPE、OREXの研究開発、LE-7エンジンの開発の後、1994年よりHTVの開発を担当。HTVプロジェクトサブマネージャー、経営企画部次長、宇宙科学研究所科学推進部長、国際宇宙探査センター長を経て、2020年4月から現職

[コメント]
有人月探査の準備の本格化、野口宇宙飛行士の活躍、若田・古川宇宙飛行士の長期滞在の決定、10数年ぶりの宇宙飛行士の募集開始、さらには「はやぶさ2」のカプセルの地球帰還など、 “宇宙”が盛り上がりを見せています。
ISSの運用開始して20年、2008年に打上げられた「きぼう」日本実験棟も、10年以上の間、健康長寿や創薬に向けた多くの科学的成果の創出、超小型衛星放出による人材育成、国際貢献等を行ってきましたが、さらに、宇宙放送局など新たな宇宙ビジネス・事業化を見込んだ民間利用が始まりました。
今年のきぼう利用シンポジウムは5回に分けてオンラインで開催いたします。皆様との議論を楽しみにしております。

小川 志保

小川 志保

JAXA/有人宇宙技術部門 きぼう利用センター センター長

2018年4月より現職。1995年から「きぼう」の利用企画・推進業務に関わり、きぼう利用戦略の策定を通じて、利用領域の重点化や民間利用拡大の仕組み作りを取り組んでいる。

[コメント]
JAXA在籍期間の殆どを「きぼう」利用の推進で過ごし、たくさんの宇宙実験を見てきました。ここまで来れたのも「やってみなければわからない」宇宙環境利用の醍醐味に魅せられてきたからなのだと思います。今、「きぼう」の先にGateWay計画が立ち上がり、月探査に向けて「きぼう」でまだまだやってみることが出てきました。今回は、「やってみなくちゃ」をみなさんとお話できればと思います。

神尾 文彦

神尾 文彦

株式会社野村総合研究所/社会システムコンサルティング部長・主席研究員

専門は都市地域戦略、社会インフラ戦略、公的組織改革。内閣官房「未来技術×地方創生検討会」委員、総務省「公営企業の経営戦略の策定支援と活用等に関する研究会」委員などをつとめる。主な著書に「デジタル国富論」(共著)東洋経済新報社、「地方創生2.0」(共著)東洋経済新報社 など

[コメント]
国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」は、まさに名のとおり、国民、産業、学術研究などに希望を与え、今後の日本の競争力と存在感を支える社会インフラそのものです。本シンポジウムでは、モデレータとして、この未来志向型の社会インフラの重要性と意義について産学官で活躍されている第一線の有識者の方々と議論をさせていただき、従来の社会インフラとは異なる「きぼう」の経済的価値・社会的価値の大きさについて皆様にわかりやすくお伝えしたいと思います。

城山 英明

城山 英明

東京大学大学院法学政治学研究科/教授

専門は行政学で、国際行政、科学技術と公共政策、政策形成プロセスについて研究している。『国際行政論』(有斐閣、2013年)『科学技術と政治』(ミネルヴァ書房、2018年)等の著作がある。

[コメント]
日本がISSに参加し、様々なきぼう利用プログラムを実施してきていることの意義と課題について、外交政策的観点、公共政策的観点から議論したいと思います。

渡邉 浩崇

渡邉 浩崇

大阪大学COデザインセンター/特任准教授

大阪大学大学院法学研究科修了・博士(法学)。専門は国際政治学、外交史、宇宙政策、とくに日米宇宙政策史を研究。米国ジョージ・ワシントン大学宇宙政策研究所上級在外研究者、国際学術雑誌『Astropolitics』編集委員。

[コメント]
有人宇宙計画に関して、日本はこれまで有人ロケット・宇宙船を独自に開発せずに、米国が主導するスペースシャトル計画とISS 計画に参加することで取り組んできました。とくにISSへの参加は、科学技術的意義に加えて政治外交的意義が大きく、日本の国際的地位を高めてきました。しかし、それらへの参加は容易に実現したわけではなく、その宇宙政策としての起源は1970年代まで遡ります。今後、ISS計画と有人月探査「アルテミス計画」にどのように参加していくかを考えることは、そうした歴史を振り返った上で、日本が宇宙先進国でありたいのか、そして国際社会における先進国であり続けたいのかという問いに答えることでもあります。

成田 悠輔

成田 悠輔

イェール大学/助教授, 半熟仮想株式会社/代表取締役

研究者・事業者・執筆者。専門は、データ・アルゴリズム・数学を使ったビジネスと公共政策(特に教育)のデザイン。経済学・人工知能・経営工学など多分野の学術誌に査読付学術論文を出版。

黒田 有彩

黒田 有彩

株式会社アンタレス/タレント・YouTuber

2016年、宇宙や科学の魅力を幅広く伝えるコンテンツを企画する法人・株式会社アンタレスを設立。2017年より文部科学省JAXA部会審議委員に就任。YouTube 「黒田有彩もウーチュー部」を配信中。

[コメント]
筑波宇宙センターのスペースドームにある実物大モデルの「きぼう」。大型バス1台分の大きさの「きぼう」に入って、360°見渡し、時にジャンプをして、「きぼう」で行われてきたさまざまな実験や宇宙飛行士の方々の活躍に心を躍らせていました。
現在はまさに分岐点。これまで大学や企業の実験・研究に利用されてきた「きぼう」が、今後民間利用も増えていくことで、より自由で有意義な場所になることを楽しみにしています。きぼう利用の可能性をいろんな業界でご活躍の皆様からお伺いすることで、さらに明確に、立体的になっていくことでしょう。そしてそれを自分なりに咀嚼し、また多くの方にお伝えできるよう、努めたいと思います。

白川 正輝

白川 正輝

JAXA/有人宇宙技術部門 きぼう利用センター きぼう利用企画グループ グループ長

1994年4月、宇宙開発事業団(現JAXA)入社。2004-2006年、内閣府(科学技術政策担当)勤務。2018年4月より、JAXAきぼう利用センターきぼう利用企画グループ長。博士(工学)

[コメント]
入社以来、宇宙環境利用及びISS計画に関する業務に従事し、最近では「きぼう」での小動物利用研究や国際調整を推進してきました。現在はきぼう利用戦略の策定、きぼう利用に関わるプロモーション、国際調整等を担当しています。「きぼう」が科学研究や技術開発の分野で優れた成果を蓄積し、地上社会や将来の日本の有人技術に不可欠な軌道上の研究開発プラットフォームとして幅広く認識されるよう、戦略的な取組みを推進したいと思います。本シンポジウムの企画担当として、参加者の皆さまには、是非きぼう利用の状況や取組みの最前線についてご理解いただき、引き続きご支援を頂ければ幸いです。

DAY 2

第2日目|2月5日(金)
"サイエンス"で宇宙最先端を行く
—学術研究基盤の「きぼう」

登坂 淳一

登坂 淳一

フリーアナウンサー

1971年6月10日東京生まれ。1997年NHK入局。2003年東京アナウンスへ異動。「おはよう日本」「正午ニュース」、国会中継も担当し郵政解散など小泉政権を伝えた。2011年東日本大震災の際には、約1ヶ月間にわたりスタジオキャスターをつとめた。2018年1月NHK退社。

[コメント]
2021年の元日、「宇宙の初日の出」が届けられました。日本の実験棟「きぼう」を活用した取り組みがまた1つ実現したと、嬉しい気持ちになりました。それは、このシンポジウムに参加し、ISSや「きぼう」について考える機会をいただいていたからです。
宇宙への好奇心と、「きぼう」への関心を拡げる一助となれるように、今年も努めたいと思います。

向井 千秋

向井 千秋

東京理科大学/特任副学長

アジア初の女性宇宙飛行士として1994年、98年と2度の宇宙飛行を行う。国際宇宙大学教授、JAXA 宇宙医学研究室長、宇宙医学センター長を経て2015年、東京理科大学副学長に就任、16年~特任副学長。

[コメント]
国際宇宙ステーション(ISS)の運用も20年余が過ぎ、材料科学、生命科学、技術開発、天体や地球の観測、教育等、多目的に利用されている。地球低軌道でのこれらの研究成果をもとに、現在は、月、火星への有人探査計画が国際的に進行中である。有人宇宙探査には、移動手段の技術のみならず、宇宙滞在技術の高度化や自立化を目指した研究、そして、医学的リスク軽減のためのライフサイエンス研究が必須で、このための研究や技術検証の場としてISSが果たす役割は大きいものと思われる。

谷口 英樹

谷口 英樹

東京大学医科学研究所/教授 横浜市立大学/特別契約教授
1995筑波大学大学院博士課程修了
1997同大学臨床医学系講師(外科)
2003~横浜市立大学大学院医学研究科臓器再生医学教授
2018~東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター再生医学分野教授
2019~同センター長
2020~横浜市立大学 特別契約教授

[コメント]
臓器移植は臓器不全症に対する唯一の根治的治療法ですが、移植ドナーの不足が世界的に問題となっています。我々は、ヒトiPS細胞を用いた臓器移植の代替手法の開発に取り組んでいます。ヒト臓器の発生は、子宮内羊水中において浮力により重力がキャンセルされた環境において生じます。宇宙空間では、子宮内に類似した環境を精緻に再現することが可能です。本プロジェクトは、ヒト臓器の芽(器官原基)の大型化や成熟化にとり必須の要素である大血管との相互作用について、微小重力環境を活用して新たな技術の開発を試みるものです。宇宙実験から、ヒト臓器創出に向けた革新的な3次元培養技術が生み出されることを期待しています。

山本 雅之

山本 雅之

東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)/機構長・教授
1979年東北大学医学部、1983年同大学院修了(医学博士)。2007年同学 医学系研究科医化学分野教授、2008年同学 副学長、医学系研究科長、2012年より東北メディカル・メガバンク機構機構長。

[コメント]
私は、環境ストレスに応答して生体を守るNrf2という転写因子の研究をしています。私たちのグループは、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」において、Nrf2遺伝子ノックアウトマウスを含む12匹のマウスの長期飼育(31日間)と全数帰還に成功しました。帰還したマウスを調べたところ、宇宙ではマウスの加齢変化が迅速に進んでいること、また、宇宙ストレスに応答してNrf2が活性化していることが明らかになりました。宇宙での1ヶ月間で、地上であれば何年もかかるような老化の実験ができることがわかりました。この実験を皮切りに、まさに宇宙マウス実験の時代(Decade of Space Mouse)が始まろうとしています。

加藤 晃一

加藤 晃一

自然科学研究機構生命創成探究センター/センター長・教授
1991年東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了。薬学博士。東京大学薬学部助手、講師、名古屋市立大学大学院薬学研究科教授を経て、2008年岡崎統合バイオサイエンスセンター教授。2018年より現職。

[コメント]
物心ついて初めての大きなニュースはアポロ11号の月面着陸でしたが、それから長いこと、私にとっての宇宙は折に触れてSF作品の中にみる遠い世界でした。5年前にふとしたきっかけで提案した宇宙実験のテーマを採択していただいてから、宇宙は一気に身近なものとなりました。2年間にわたる緊密な予備検討の末、念願の試料を託した金井宇宙飛行士に「きぼう」の船内からメッセージをいただいたときの感激は忘れることができません。それと同時に、宇宙実験は実に多くのスタッフの活躍に支えられているのだなと実感しました。こうして実現できた宇宙実験の成果をご披露し、宇宙の可能性について皆様と話し合うことを楽しみにしています。

村谷 匡史

村谷 匡史

筑波大学医学医療系・トランスボーダー医学研究センター/教授
2000年筑波大学卒業、2005年米国コールドスプリングハーバー研究所にてPh.D.取得。英国、シンガポールでのポスドク研究員を経て、2014年に筑波大学医学医療系着任。ゲノミクス研究に従事。

[コメント]
地球上の生命がこれまでの進化で経験したことのない、低重力環境や宇宙放射線、長期閉鎖系での滞在や食糧生産など、人類の宇宙進出にはライフサイエンス分野での課題も満載です。これまで、「きぼう」での生物実験で得られるサンプルから、網羅的な遺伝子解析法などを用いて多くのデータを集め、地上実験の結果と比較できるように、解析作業の標準化、自動化、研究データベースの活用を進めてきました。宇宙医学は、未知な部分も多い新しい環境での検査、健康管理法の開発や、遠隔医療の技術革新とも連動するため、未来の地球と宇宙での生活を見据えて、研究開発に貢献していきたいと思います。

藤田 修

藤田 修

北海道大学大学院工学研究院機械宇宙航空工学部門宇宙環境応用工学研究室/教授
1990年北海道に500mの大型落下塔が開設されたの機に微小重力研究を開始。1995年からNASAと固体材料燃焼の共同研究を実施。JAXAーFLAREプロジェクト(2012年採択)のPIを務める。

[コメント]
今回紹介する燃焼や火災に関する現象は、重力の影響を強く受けるため宇宙では地上とは大きく異なる挙動を示します。このため、火災安全に関する考え方も重力の有無に影響を受けることになります。本シンポジウムでは、ISSでの実験を中心として展開する火災安全性向上に関する研究(FLAREプロジェクト)の一端を多くの皆さまと共有できればと考えております。有人活動において安全の確保は最優先事項の一つです。私たちの研究が、これから展開されるであろうアルテミス計画等における長期間有人宇宙活動の安全性向上に少しでも役に立てることを願っております。

山岸 明彦

山岸 明彦

東京薬科大学生命科学部/名誉教授
1981年東京大学大学院博士課程修了(理学博士)、カリフォルニア大学博士研究員、カーネギー研究所博士研究員等を経て、現職。JAXA安全.信頼性推進部 惑星等保護オフィサー、ISSたんぽぽ計画代表。

[コメント]
私はアストロバイオロジーとよばれる分野で研究をしてきました。アストロバイオロジーは「宇宙における生命の起源、進化、伝播および未来」を研究する学問です。太陽系外の惑星が5000個見つかり、火星や金星の雲での様々な発見から、これらの場所に生命が存在する可能性が出てきています。いまや地球外生命を探す競争となっています。もし、地球外生命が発見されれば、生物学にとってダーウィン進化論以来の発見となります。地球外生命を見つけるためには、地球の生命、その起源や進化を詳しく知ることが必要です。「きぼう」はその研究のために格好の場所となっています。「たんぽぽ計画」で生命の起源に関連した研究の結果を紹介します。

黒田 有彩

黒田 有彩

株式会社アンタレス/タレント・YouTuber

2016年、宇宙や科学の魅力を幅広く伝えるコンテンツを企画する法人・株式会社アンタレスを設立。2017年より文部科学省JAXA部会審議委員に就任。YouTube 「黒田有彩もウーチュー部」を配信中。

[コメント]
筑波宇宙センターのスペースドームにある実物大モデルの「きぼう」。大型バス1台分の大きさの「きぼう」に入って、360°見渡し、時にジャンプをして、「きぼう」で行われてきたさまざまな実験や宇宙飛行士の方々の活躍に心を躍らせていました。
現在はまさに分岐点。これまで大学や企業の実験・研究に利用されてきた「きぼう」が、今後民間利用も増えていくことで、より自由で有意義な場所になることを楽しみにしています。きぼう利用の可能性をいろんな業界でご活躍の皆様からお伺いすることで、さらに明確に、立体的になっていくことでしょう。そしてそれを自分なりに咀嚼し、また多くの方にお伝えできるよう、努めたいと思います。

白川 正輝

白川 正輝

JAXA/有人宇宙技術部門 きぼう利用センター きぼう利用企画グループ グループ長

1994年4月、宇宙開発事業団(現JAXA)入社。2004-2006年、内閣府(科学技術政策担当)勤務。2018年4月より、JAXAきぼう利用センターきぼう利用企画グループ長。博士(工学)

[コメント]
入社以来、宇宙環境利用及びISS計画に関する業務に従事し、最近では「きぼう」での小動物利用研究や国際調整を推進してきました。現在はきぼう利用戦略の策定、きぼう利用に関わるプロモーション、国際調整等を担当しています。「きぼう」が科学研究や技術開発の分野で優れた成果を蓄積し、地上社会や将来の日本の有人技術に不可欠な軌道上の研究開発プラットフォームとして幅広く認識されるよう、戦略的な取組みを推進したいと思います。本シンポジウムの企画担当として、参加者の皆さまには、是非きぼう利用の状況や取組みの最前線についてご理解いただき、引き続きご支援を頂ければ幸いです。

DAY 3

第3日目|2月12日(金)
宇宙を舞台に"ビジネス"する
—新たな投資領域「きぼう」

深堀 昂

深堀 昂

avatarin株式会社/代表取締役CEO
2020年4月にANA発スタートアップ「avatarin株式会社」を立ち上げ、距離や身体的制約を超えて遠隔操作ロボット(アバター)を介して人々が繋がる新たな社会インフラ構築に取り組んでいる。

[コメント]
2018年3月に高性能アバターを開発する国際賞金レース「ANA AVATAR XPRIZE」を立ち上げ、82カ国、820チームが参戦するムーブメントをXPRIZE財団と共に牽引しています。2018年9月にはJAXAと共に35社が参画するアバターを用いて宇宙開発を推進する「AVATAR X」コンソーシアムを立ち上げ、アウトプットとして2020年11月には「きぼう」にて小型スペースアバターの技術実証を行いました。今後、スペースアバターを活用したISSでの新たな民間ビジネス創出を加速させ、より多くの人が宇宙を身近に体験できるようにしていきたいと思います。

朴 正義

朴 正義

株式会社バスキュール/代表取締役
メディア・イベント・プロダクトなど、さまざまなモノゴトの体験価値の拡張に挑むクリエイティブチーム、バスキュールの代表。カンヌ、文化庁メディア芸術祭など、300を超える国内外のクリエイティブ賞を受賞。

[コメント]
インターネットが普及し始めた2000年、Webから始まった私たちのデザイン活動は、テクノロジーの進化に伴い、プロダクト・テレビ・スポーツ・イベント・まちづくり・教育…と、その適用領域を拡げていきました。そして2020年には、ついに「KIBO宇宙放送局」として、宇宙と地上をリアルタイムにつなげる新しいメディア体験の提供にまで手が届くようになりました。2021年の年越しミッションでは、Twitter、ポケモン、コカ・コーラという企業と連携し、「宇宙の初日の出」を多くのみなさんに届けることができました。宇宙の専門家ではない私たちだからこそ、一般の人々と宇宙との距離を近づけることができる。そう信じて、このプロジェクトを現在も推し進めています。本シンポジウムでは、こうしたアプローチに可能性を感じていただける方と交流できれば嬉しいです。

北野 宏明

北野 宏明

株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所/代表取締役社長
株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長。ソニー株式会社 常務。株式会社Sony AI CEO。特定非営利活動法人システム・バイオロジー研究機構 会長。沖縄科学技術大学院大学 教授。

[コメント]
Space is the final frontier. SOL Project is one the voyages of Sony CSL. Its audacious mission: to explore new technologies, to seek out radical solutions to push our civilizations forward, to boldly go where no man has gone before.

石田 真康

石田 真康

一般社団法人SPACETIDE/代表理事兼CEO
2015年より新たな宇宙ビジネスの振興を目的に年次カンファレンス「SPACETIDE」を主催。A.T.カーニーで宇宙業界を含む15年超のコンサルティング経験。内閣府 宇宙政策委員会 基本政策部会委員。

[コメント]
宇宙業界は現代生活のインフラであります。また近年は様々なイノベーションが起きて、成長産業としての期待が高まっています。しかしながらまだまだニッチな業界です。市場規模は40兆円といわれていますが、例えば自動車産業は600兆円になります。日本および世界は様々な産業課題や社会課題に直面をしています。こうした課題を解くために、宇宙技術や宇宙ビジネスが起点となり、色々な業界とつながりながら新たな価値創造をしていくことで、宇宙業界自体もより大きな産業に成長できると思います。

松尾 修

松尾 修

アフラック生命保険株式会社/共同研究推進室 室長
慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。アフラック生命保険にて企画部門、営業・マーケティング部門、契約管理部門、IT部門、関連会社等に従事後、2020年より現職。

[コメント]
アフラックは、2024年に迎える創業50周年に向けて策定した「Aflac VISION2024」において、「生きるための保険」のリーディングカンパニーから「生きる」を創るリーディングカンパニーへの飛躍を掲げ、企業価値のさらなる向上とともに持続的な成長を目指しています。
そのためには、これまで培ってきたがん保険や医療保険などのコアビジネスの領域における新たな価値の創造に加えて、保険以外の新たなビジネス領域の開拓にもチャレンジしていく必要があると考えています。
宇宙×生命保険という一見無関係だからこそワクワクするようなイノベーション創出ができればと思っています。

石井 満

石井 満

スカパーJSAT株式会社/執行役員 宇宙事業部門部門長補佐 兼 宇宙事業部門Chief Digital Officer
1990年入社(旧宇宙通信(株))モバイル事業部長、宇宙・防衛事業部長を歴任し、2020年より現職。JAXAとの官民連携推進、低軌道衛星画像ソリューションビジネス参入など、新規事業領域の開拓を牽引。

[コメント]
1989年に日本の民間企業として初めて通信衛星を打ち上げて以来、当社は静止軌道上の衛星を利用した通信サービスにより宇宙利用ビジネスの基盤を確立してまいりました。現在では19機の静止衛星を保有し国内外に各種サービスを展開しております。数年前より、さらなる事業領域の拡大に向けた挑戦をしており、特に注力している低軌道を対象とした新サービスは、異業種連携の取り組みが多く、当社にとっての新たな価値創造の舞台になっています。当社は本シンポジウムへの参加は初めてですが、宇宙を生業の場として活用してきた経験と未来展望を皆さんにお話しできることを楽しみにしています。

中ノ瀬 翔

中ノ瀬 翔

GITAI Japan株式会社/Founder&CEO
日本IBMを退職後、インドで起業・事業売却を経験。米国Singularity University日本人初参加者。2016年からGITAIロボットのプロトタイプ開発を開始し、同年GITAIを創業。

[コメント]
GITAIは「宇宙に安価で安全な作業手段を提供する」ことをMissionとする宇宙ロボットスタートアップです。
GITAIは2040年には火星や月に都市を建設したり、宇宙コロニーを建設する安価で安全な労働力を提供しています。 2030年には軌道上サービス・月面基地開発における汎用作業ロボットを開発し、世界的な宇宙ロケット開発企業と対等なパートナーとして共に地球低軌道や月の宇宙開発を行っています。彼らが輸送手段を提供し、我々が作業手段を提供します。彼らが輸送コストを下げ、我々が作業コストを下げます。

高田 真一

高田 真一

JAXA/新事業促進部 J-SPARCプロデューサー
角田(宮城県)でのロケットエンジン開発、HTV開発・運用(システム/推進系担当)、ヒューストンでの国際調整業務等を経て、現職にて、宇宙輸送及び有人宇宙分野を中心に、民間等との事業共創活動を複数進めている。一般社団法人スペースポートジャパン共同創業者&理事。

[コメント]
米国で民間宇宙事業の創出状況を間近で体感した経験も踏まえ、日本で、JAXA自ら研究開発力を高め、JAXAの外に新たな民間事業を創出する、価値共創の具体事例を多数生み出したいと考えています。

土井 忍

土井 忍

JAXA/有人宇宙技術部門 きぼう利用センター 技術領域主幹
1994年に入社. 「きぼう」ロボットアーム開発や船外システムのインテグレーションを経て、現在は、船外利用の民間事業移管を推進及び、アジア・太平洋地域における「きぼう」利用の推進業務を担当。

池上 彰

池上 彰

ジャーナリスト, 東京工業大学/教授
1973年、NHKに記者として入局。松江、呉での勤務を経て、東京の報道局社会部。事件、事故、災害、消費者問題、教育問題等を取材。1989年より5年間、首都圏向けニュースキャスター。1994年より2005年までの11年間、「週刊こどもニュース」キャスター。2005年に独立。

[コメント]
小学生の時には星座に関する神話を読み、中学生の時にはSF小説を読みふけり、宇宙への憧れを育ててきました。NASAの月着陸の中継には興奮したものです。「NHK週刊こどもニュース」の企画でヒューストンのNASAで野口飛行士にインタビューできたのも懐かしい思い出です。シンポジウムを楽しみにしています。

川崎 一義

川崎 一義

JAXA/有人宇宙技術部門 事業推進部 部長
1987年、宇宙開発事業団に入社。1989年から宇宙ステーションの開発、事業推進、宇宙環境利用、月惑星探査計画などを担当。2015年より宇宙探査イノベーションハブを立ち上げ。これまで宇宙に関係のなかった業界と連携した研究開発事業を推進。2017年より同副ハブ長。2020年より現職。

[コメント]
「きぼう」の完成から10年が過ぎ、有人宇宙活動は地球低軌道から月へと活動範囲を拡げようとしています。これは「きぼう」及びISSという有人活動基盤が確立してきたことの証明であるとも言えます。「きぼう」の利用も地球上の様々な課題解決に貢献すると同時に、将来の宇宙探査に向けての新たな研究開発が行われようとしています。また、これらは地上におけるイノベーションにつながるものでもあります。このシンポジウムを通じて「きぼう」と有人宇宙活動の未来について皆様と語り合いたいと思います。

筒井 史哉

筒井 史哉

JAXA/国際宇宙探査センター センター長
1989年、宇宙開発事業団に入社。1991年(平成3年)から宇宙ステーション取付型日本実験棟「きぼう」の開発に従事。 2018年4月から国際宇宙ステーションプログラムマネージャ。 2020年4月から現職。

[コメント]
30年前に開発が開始された有人宇宙施設「きぼう」実験棟は、日本にとって初めての有人宇宙技術の実践の場でしたが、2009年に軌道上での組立が完了して以降も機能性能アップが続けられ、今でも、他の実験棟には無い新たな利用手段を創造しつづけています。この10年間で、当初全く考えてもいなかった利用が生まれ、定着してきています。これからも「きぼう」が人類の活動領域を拡大するための技術基盤として活躍し続けることを確信しています。

小川 志保

小川 志保

JAXA/有人宇宙技術部門 きぼう利用センター センター長
2018年4月より現職。1995年から「きぼう」の利用企画・推進業務に関わり、きぼう利用戦略の策定を通じて、利用領域の重点化や民間利用拡大の仕組み作りを取り組んでいる。

[コメント]
JAXA在籍期間の殆どを「きぼう」利用の推進で過ごし、たくさんの宇宙実験を見てきました。ここまで来れたのも「やってみなければわからない」宇宙環境利用の醍醐味に魅せられてきたからなのだと思います。今、「きぼう」の先にGateWay計画が立ち上がり、月探査に向けて「きぼう」でまだまだやってみることが出てきました。今回は、「やってみなくちゃ」をみなさんとお話できればと思います。

DAY 4

第4日目|2月19日(金)
JAXA/NASA Joint Workshop

Joel Montalbano

Joel Montalbano

NASA/ISS Program Manager
Mr. Montalbano is the International Space Station (ISS) Program Manager, responsible for the overall management, development, integration and operation of the ISS. Previously, Montalbano served as the Deputy Program Manager for the ISS Program Office, director of NASA’s Human Space Flight Program in Russia, and as NASA Flight Director.

[コメント]
The ISS is the most politically complex space exploration program ever undertaken. NASA seeks to ensure recognition as a National Laboratory with defined projects that support National, Agency, and ISS Program goals for scientific, technological, diplomatic, and educational purposes further supporting in human space exploration and low-Earth orbit commercial activities.

Ken Shields

Ken Shields

Center for the Advancement of Science in Space/Chief Operating Officer and NASA Liaison
Ken Shields serves as the Chief Operating Officer and NASA Liaison at the Center for the Advancement of Science in Space, manager of the International Space Station U.S. National Laboratory, which supports non-NASA science, technology, and education initiatives from U.S. government agencies, academic institutions, and the private sector.

[コメント]
Excited to provide insights into how the ISS National Lab is bringing value to U.S. taxpayers, and how (in collaboration with NASA) our orbiting business incubator is enabling a robust, sustainable and scalable market in low Earth orbit.

Michael T. Suffredini

Michael T. Suffredini

Axiom Space, Inc./President, CEO and co-founder of Axiom Space, Incs
Mr. Suffredini is President, CEO and co-founder of Axiom Space, Inc.. Mr. Suffredini has 30+ years of experience in human spaceflight, and served as NASA’s ISS Program manager for a decade. Axiom is building the world’s first internationally available commercial space station to continue what the ISS community begun.

[コメント]
Axiom is building the world’s first internationally available commercial space station to continue what the International Space Station (ISS) community of Nations has begun.

土井 忍

土井 忍

JAXA/有人宇宙技術部門 きぼう利用センター 技術領域主幹
1994年に入社. 「きぼう」ロボットアーム開発や船外システムのインテグレーションを経て、現在は、船外利用の民間事業移管を推進及び、アジア・太平洋地域における「きぼう」利用の推進業務を担当。

Jose Benavides

Jose Benavides

NASA/Research Engineer, Project Manager, Astrobee Facility, Advanced Control & Evolvable Systems Group(ACES)
Mr. Benavides is the Project Manager of the NASA International Space Station (ISS) Astrobee Facility project. The Astrobee Facility is one of the most used and popular ISS National Lab Facilities. He has a bachelors and master’s degree from Arizona State University in Electrical Engineering, with specialization in control systems.

[コメント]
Mr. Benavides research interests include embedded systems, rapid prototyping of control systems, spacecraft, small satellites, robotics, and human-machine interaction (HMI). The ISS is a great place for testing and developing robotics technology.

猿渡 英樹

猿渡 英樹

JAXA/有人宇宙技術部門 きぼう利用センター 技術領域主幹
1996年、宇宙開発事業団(現JAXA)に入社。 人工衛星の試験設備の開発、地球観測衛星の開発を経て、現在は、「きぼう」船内に搭載されている静電浮遊炉の運用および利用拡大業務を担当。

[コメント]
静電浮遊炉(Electrostatic Levitation Furnace: ELF)は、静電気力で試料を炉内で浮遊させながら、非接触で加熱、冷却することができる装置です。「きぼう」搭載のELFを使うことにより、従来の方法では知ることができなかった3000℃レベルの超高融点材料の正確な熱物性情報を知ることができます。米国の研究者もこの装置に注目しており、JP-US OP3の枠組みを利用して、ELFを利用しています。「きぼう」搭載のELFは世界唯一の装置であり、その能力を活かして日本のみならず世界における低軌道利用の成果最大化に貢献していきます。

Douglas Matson

Douglas Matson

Tufts University/Associate Professor of Mechanical Engineering
Dr. Matson works on developing an understanding of metal solidification and thermal processing of materials. He serves on the ISS-NL User Advisory Committee and was the 2020 President of the American Society for Gravitational and Space Research technical society.

[コメント]
Dr. Matson conducts ISS research using the JAXA-ELF facility and uses the unique environment of space to facilitate measurement of molten metal properties. This work supports development of high-fidelity models for the improvement of ground and space-based manufacturing operations.

芝 大

芝 大

JAXA/有人宇宙技術部門 きぼう利用センター 技術領域主幹、博士(理学)
医学部教員として約10年間、人体解剖や組織学の医学教育のほか、腎疾患にかかる基礎研究を行って来ました。2013年JAXA入社。宇宙マウス飼育ミッションを立ち上げから担当。

[コメント]
「あこがれ」だけではなく、宇宙をより近くに「実感」してもらいたい。
2030年には75歳以上人口は2200万人を超えることが想定されています。現役世代の支えを可能な限り受けないよう「死ぬまで健康に生活できる」ことがより求められる時代になっていると思います。最先端の科学技術を用い「より高みへ、より遠くへ」行くだけでなく、「宇宙利用」をより生活・人生に密着した形で国民に還元するサイエンスを生み出すことを意識し、宇宙を実感してもらえるようしたいです。

Frances Donovan, Ph.D.

Frances Donovan, Ph.D.

NASA Ames Research Center/SynBio Deputy Project Manager
Dr. Donovan has supported the development and implementation over 20 biology experiments on the International Space Station. She serves as the liaison and technical scientist supporting the collaboration between NASA Space Biology Portfolio rodent missions and the JAXA MARS (Multiple Artificial-gravity Research System) facility.

[コメント]
The International Space Station is more than a symbol of peaceful collaboration, it is a real world effort of continuous international collaboration, pursued with the peaceful intent to increase knowledge and exploration capabilities for all.

佐々木 宏

佐々木 宏

JAXA/理事・有人宇宙技術部門長

1987年、宇宙開発事業団(現JAXA)に入社。HOPE、OREXの研究開発、LE-7エンジンの開発の後、1994年よりHTVの開発を担当。HTVプロジェクトサブマネージャー、経営企画部次長、宇宙科学研究所科学推進部長、国際宇宙探査センター長を経て、2020年4月から現職

[コメント]
有人月探査の準備の本格化、野口宇宙飛行士の活躍、若田・古川宇宙飛行士の長期滞在の決定、10数年ぶりの宇宙飛行士の募集開始、さらには「はやぶさ2」のカプセルの地球帰還など、 “宇宙”が盛り上がりを見せています。
ISSの運用開始して20年、2008年に打上げられた「きぼう」日本実験棟も、10年以上の間、健康長寿や創薬に向けた多くの科学的成果の創出、超小型衛星放出による人材育成、国際貢献等を行ってきましたが、さらに、宇宙放送局など新たな宇宙ビジネス・事業化を見込んだ民間利用が始まりました。
今年のきぼう利用シンポジウムは5回に分けてオンラインで開催いたします。皆様との議論を楽しみにしております。

Kathy Lueders

Kathy Lueders

NASA/Assoc. Administrator, Human Exploration and Operations
Kathy Lueders is NASA Associate Administrator of the Human Exploration and Operations (HEO) Mission Directorate. Lueders has directed NASA’s efforts to send astronauts to space on private spacecraft, which culminated in the successful launch of Demo-2. Previously, Lueders served as NASA's Commercial Crew Program Manager.

黒田 有彩

黒田 有彩

株式会社アンタレス/タレント・YouTuber

2016年、宇宙や科学の魅力を幅広く伝えるコンテンツを企画する法人・株式会社アンタレスを設立。2017年より文部科学省JAXA部会審議委員に就任。YouTube 「黒田有彩もウーチュー部」を配信中。

[コメント]
筑波宇宙センターのスペースドームにある実物大モデルの「きぼう」。大型バス1台分の大きさの「きぼう」に入って、360°見渡し、時にジャンプをして、「きぼう」で行われてきたさまざまな実験や宇宙飛行士の方々の活躍に心を躍らせていました。
現在はまさに分岐点。これまで大学や企業の実験・研究に利用されてきた「きぼう」が、今後民間利用も増えていくことで、より自由で有意義な場所になることを楽しみにしています。きぼう利用の可能性をいろんな業界でご活躍の皆様からお伺いすることで、さらに明確に、立体的になっていくことでしょう。そしてそれを自分なりに咀嚼し、また多くの方にお伝えできるよう、努めたいと思います。

川崎 一義

川崎 一義

JAXA/有人宇宙技術部門 事業推進部 部長
1987年、宇宙開発事業団に入社。1989年から宇宙ステーションの開発、事業推進、宇宙環境利用、月惑星探査計画などを担当。2015年より宇宙探査イノベーションハブを立ち上げ。これまで宇宙に関係のなかった業界と連携した研究開発事業を推進。2017年より同副ハブ長。2020年より現職。

[コメント]
「きぼう」の完成から10年が過ぎ、有人宇宙活動は地球低軌道から月へと活動範囲を拡げようとしています。これは「きぼう」及びISSという有人活動基盤が確立してきたことの証明であるとも言えます。「きぼう」の利用も地球上の様々な課題解決に貢献すると同時に、将来の宇宙探査に向けての新たな研究開発が行われようとしています。また、これらは地上におけるイノベーションにつながるものでもあります。このシンポジウムを通じて「きぼう」と有人宇宙活動の未来について皆様と語り合いたいと思います。

DAY 5

第5日目|2月26日(金)
宇宙探査技術のステップアップ
—技術を磨ける「きぼう」

筒井 史哉

筒井 史哉

JAXA/国際宇宙探査センター センター長
1989年、宇宙開発事業団に入社。1991年(平成3年)から宇宙ステーション取付型日本実験棟「きぼう」の開発に従事。 2018年4月から国際宇宙ステーションプログラムマネージャ。 2020年4月から現職。

[コメント]
30年前に開発が開始された有人宇宙施設「きぼう」実験棟は、日本にとって初めての有人宇宙技術の実践の場でしたが、2009年に軌道上での組立が完了して以降も機能性能アップが続けられ、今でも、他の実験棟には無い新たな利用手段を創造しつづけています。この10年間で、当初全く考えてもいなかった利用が生まれ、定着してきています。これからも「きぼう」が人類の活動領域を拡大するための技術基盤として活躍し続けることを確信しています。

酒井 純一

酒井 純一

JAXA/有人宇宙技術部門 有人宇宙技術センター センター長
1990年 宇宙開発事業団(現JAXA)入社。1992年より「きぼう」の管制系担当として開発に従事。「きぼう」のフライトディレクター、ヒューストン駐在員事務所長、新事業促進部を経て2020年より現職、ISS プログラムマネージャ兼務。

[コメント]
昨年11月、野口飛行士は民間宇宙船に乗り、国際宇宙ステーションへ搭乗しました。民間の事業が有人宇宙プロジェクトの中核を支える時代となり宇宙開発は新たな局面を迎えています。地球低軌道は、人類が行き来できる貴重な宇宙環境です。「きぼう」は地球低軌道の実験室として、そのユニークな構成を活かし、船内/外で多くの利用成果を創出すると共に、他国に先駆けた小型衛星放出、材料曝露実験や技術実証機会の提供など新たな利用価値の創出も行って参りました。
本シンポジウムを通して、より多くの方々に「きぼう」を知って頂き、「きぼう」を使った新たな実験や技術の実証、事業に向けたチャレンジ機会の創出に繋がれば幸いです。

中道 理

中道 理

株式会社日経BP/日経クロステック副編集長・日経エレクトロニクス編集長
1997年日経BP社入社。『日経バイト』『日経コミュニケーション』『日経エレクトロニクス』記者、副編集長、『リアル開発会議』編集長などを経て、2020年1月より現職。

[コメント]
宇宙に関連したビジネスが今後伸びていくことに疑問の余地はありませんが、現在進行形のビジネスと宇宙環境の利用を結びつけるのは、アクロバティックな作業に思えます。一方で、市場が形成されていない市場だけに、リスクを取ってブルーオーシャンをつかんだ企業が大きく成長できるというのも真実です。この難問を、講師とオンライン視聴される皆様とともに、一緒に考えられれば幸いです。

岩本 匡平

岩本 匡平

株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所
ソニーCSLにおける衛星光通信の研究リーダー。専門は応用光学。2016年よりJAXA主幹研究開発員を兼任。パロアルト研究所客員研究員、ソニー(株)Distingulshed Resarcherを歴任。

[コメント]
米国在住時に多くの宇宙ベンチャーを目の当たりにし、宇宙がこれほどまでに身近なものになったことに衝撃を受けました。日本でも研究を開始するときに米国との環境差に不安はありましたが、きぼう利用による研究開発が可能であることは、米国のスピードに勝るとも劣らない環境であり、私にとっての2回目の衝撃でした。現在、きぼうの暴露部にあるiSEEPにおいて光通信の実験を行っています。

髙橋 智

髙橋 智

筑波大学 医学医療系 トランスボーダー医学研究センター/センター長・教授
1987年 東北大学医学部卒業、1991年 東北大学大学院修了、1991年 スイスジュネーブ大学ポスドク、1995年 筑波大学基礎医学系講師、2000年 筑波大学基礎医学系教授、2017年から現職

[コメント]
ISS・きぼうは、宇宙の研究、利用の最も重要なプラットフォームです。今後の月や火星探査に向けた様々な基礎研究や、宇宙利用の応用研究を行うことのできる貴重な場であり、さらに利用が広がることを期待しています。

大槻 真嗣

大槻 真嗣

JAXA 宇宙科学研究所/准教授
慶應義塾大学大学院後期博士課程修了。同大理工学部システムデザイン工学科助手(2003~2005年)。宇宙科学研究所助教を経て2019年より現職。主に惑星探査機のモビリティの研究に従事。

[コメント]
将来,惑星探査機を高頻度にかつ自由自在に惑星表面で活動させることを目標に技術開発を進めています.特に,惑星表層環境のシミュレータ開発を目指し,低重力下でのレゴリス~機械の接触理論の確立に尽力しています.その実現には,「きぼう」の利用は不可欠であり,地球上では見ることのできない,様々な低重力下での現象解明が期待されています.本シンポジウムでは,今年度「きぼう」で実施されたHourglassミッションの結果を通じて,将来の惑星探査機の設計がどのように行われていくのか,情報共有できればと思います.

黒田 有彩

黒田 有彩

株式会社アンタレス/タレント・YouTuber

2016年、宇宙や科学の魅力を幅広く伝えるコンテンツを企画する法人・株式会社アンタレスを設立。2017年より文部科学省JAXA部会審議委員に就任。YouTube 「黒田有彩もウーチュー部」を配信中。

[コメント]
筑波宇宙センターのスペースドームにある実物大モデルの「きぼう」。大型バス1台分の大きさの「きぼう」に入って、360°見渡し、時にジャンプをして、「きぼう」で行われてきたさまざまな実験や宇宙飛行士の方々の活躍に心を躍らせていました。
現在はまさに分岐点。これまで大学や企業の実験・研究に利用されてきた「きぼう」が、今後民間利用も増えていくことで、より自由で有意義な場所になることを楽しみにしています。きぼう利用の可能性をいろんな業界でご活躍の皆様からお伺いすることで、さらに明確に、立体的になっていくことでしょう。そしてそれを自分なりに咀嚼し、また多くの方にお伝えできるよう、努めたいと思います。

佐々木 宏

佐々木 宏

JAXA/理事・有人宇宙技術部門長

1987年、宇宙開発事業団(現JAXA)に入社。HOPE、OREXの研究開発、LE-7エンジンの開発の後、1994年よりHTVの開発を担当。HTVプロジェクトサブマネージャー、経営企画部次長、宇宙科学研究所科学推進部長、国際宇宙探査センター長を経て、2020年4月から現職

[コメント]
有人月探査の準備の本格化、野口宇宙飛行士の活躍、若田・古川宇宙飛行士の長期滞在の決定、10数年ぶりの宇宙飛行士の募集開始、さらには「はやぶさ2」のカプセルの地球帰還など、 “宇宙”が盛り上がりを見せています。
ISSの運用開始して20年、2008年に打上げられた「きぼう」日本実験棟も、10年以上の間、健康長寿や創薬に向けた多くの科学的成果の創出、超小型衛星放出による人材育成、国際貢献等を行ってきましたが、さらに、宇宙放送局など新たな宇宙ビジネス・事業化を見込んだ民間利用が始まりました。
今年のきぼう利用シンポジウムは5回に分けてオンラインで開催いたします。皆様との議論を楽しみにしております。

小川 志保

小川 志保

JAXA/有人宇宙技術部門 きぼう利用センター センター長
2018年4月より現職。1995年から「きぼう」の利用企画・推進業務に関わり、きぼう利用戦略の策定を通じて、利用領域の重点化や民間利用拡大の仕組み作りを取り組んでいる。

[コメント]
JAXA在籍期間の殆どを「きぼう」利用の推進で過ごし、たくさんの宇宙実験を見てきました。ここまで来れたのも「やってみなければわからない」宇宙環境利用の醍醐味に魅せられてきたからなのだと思います。今、「きぼう」の先にGateWay計画が立ち上がり、月探査に向けて「きぼう」でまだまだやってみることが出てきました。今回は、「やってみなくちゃ」をみなさんとお話できればと思います。

※プログラムの内容は変更となることがあります

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