国際宇宙ステーション「きぼう」利用シンポジウム
文部科学大臣政務官
1975年千葉県生まれ、東京歯科大学歯学部卒業。歯科医師、学校法人理事長(幼稚園)等を経て、2012年衆議院総選挙に初当選。現在3期目。2018年10月より現職(内閣府大臣政務官及び復興大臣政務官を兼務)。
[コメント]
国際宇宙ステーション(ISS)計画 は、日本・米国等の15ヶ国が参加する平和目的の国際協力プロジェクトです。我が国は、「きぼう」及び「こうのとり」の開発・運用や日本人宇宙飛行士の長期滞在によりISS計画に参加しており、これまでに、有人・無人宇宙技術の獲得、国際プレゼンスの確立、宇宙産業の振興、青少年育成等の多様な成果を上げてきています。
また、「きぼう」利用については、大学等の学術研究に留まらず、民間企業による有償利用や宇宙新興国による利用も着実に増えるなど、当初想定もされなかった形で大きく発展していると考えています。
このシンポジウムが「きぼう」利用のさらなる拡充に繋がることを期待しております。
JAXA/理事
1996年、2000年、2009年にMSとして搭乗し、2009年には日本人として初めてISS長期滞在ミッションを実施した。2014年、日本人初のISS船長(コマンダー)に就任。合計4回の総宇宙滞在時間は日本人最長。2018年4月より現職。
[コメント]
宇宙開発を推進する新たな国々の台頭や民間企業による地球低軌道の商業利用の活発化など、我が国の有人宇宙活動は大きな転機に差し掛かっています。
その中で、国際競争力を有する日本ならではの有人宇宙技術を開発し、「きぼう」を研究開発基盤として定着させるべく、より使いやすい利用サービスの提供や民間等との連携拡大、さらには将来を見据えた運用の効率化を着実に加速させていく必要があります。
JAXA有人宇宙技術部門では、「きぼう」の運用・利用とHTV運用の着実な実施、JP-US OP3の推進、民間事業者の参画、国際宇宙探査に向けた技術実証を進め、ISSの成果最大化を図ると共に、「きぼう」を活用してさまざまな事業や利用が実現されるよう、成果が社会に根付く活動とチャレンジングな研究開発を積極的に進めてまいります。
JAXA/きぼう利用センター長
宇宙開発事業団に1987年入社。1995年(平成7年)から宇宙環境利用の推進・企画業務に従事。公募型の地上研究募集や、きぼう利用テーマの募集選定、利用戦略の策定などを担当。2018年4月より、きぼう利用センター長を拝命。
[コメント]
きぼう利用の企画・推進業務に長年かかわり「生き字引」と言われています。宇宙を取り巻く状況はこの近年大きく変化し、さまざまな企業や人が「ことづくり」の場として参画しはじめ、今まで思ってもみなかった、ISSや「きぼう」の利用が拡がってきました。そのため、「以前はこうでした」「この実施は難しいかも」という言葉は封印して、常に前進姿勢で取り組んでまいります。JAXAは宇宙環境利用のエンジニアやプログラムサイエンティストがいます。どうぞ、みなさんが宇宙環境を使ってしたいことを相談ください。お待ちしております。
日経バイオテク/副編集長
1996年東京工業大学生命理工学部卒業、98年同大学大学院修了。98年日経BP入社、日経バイオテク配属。2004年から日経ビジネス記者。北京支局長・上海支局長などを経て2018年4月より現職
[コメント]
「きぼう」によって、我々日本人にとっても、宇宙の産業利用は遠い未来の話ではなく、今日のテーマとなりました。このシンポジウムを通じて、具体的な議論を深めたいです。
自治医科大学/学長
1974 東京大学医学部卒、1975 東大病院、1983 バーモント大学、1995 群馬大学第二内科教授、1999 東京大学循環器内科教授、2003 東大病院長、2012 自治医科大学学長
[コメント]
国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟は、医学研究の新しい拠点です。その代表がタンパク質の結晶化と創薬です。「きぼう」の微小重力下では溶液内の対流がほとんどなく、きれいな結晶を容易に作ることができます。また、宇宙では骨や筋肉だけでなく、全身臓器の老化も加速されます。「きぼう」では小動物の飼育も可能で、遠心力により自在に重力を発生させることもできます。このように「きぼう」の実験設備は着実に改良されており、今後新しい成果が得られることが期待されます。
東北大学東北メディカル・メガバンク機構/機構長
東北大学医学部卒業。同大学院修了(医学博士)。筑波大学教授等を経て2007年より東北大学医学系研究科教授。2008年~2012年、同研究科長。2012年より東北大学東北メディカル・メガバンク機構長。
[コメント]
私たちは国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」において、遺伝子ノックアウトマウスを含む12匹のマウスの長期飼育(34日間)と全数帰還に成功しました。これは世界初の成果となります。この成功を受けて、今後、ヒト病態解析の目的で、世界中で作製されている多くの遺伝子欠失マウス系統についても、宇宙ストレスの影響下で個々の遺伝子欠失の影響がどのように顕在化するのかを解析できる道が開かれました。まさに宇宙マウス実験の時代(Decade of Space Mouse)です。例えば、骨減少や筋減弱が加速される宇宙環境を活用し、地上における健康寿命の増進に関わる研究の促進などが期待されます。
京都大学/教授
骨格筋再生に関する研究を行ってきた瀬原は、今、ゼブラフィッシュを用いて宇宙滞在による骨格筋萎縮や、老人で見られる筋萎縮のメカニズムを解明しようとしています。初めて得られた、宇宙滞在初期から地上に帰った後の回復期までの骨格筋トランスクリプトームデータは、私たちに、宇宙における骨格筋萎縮の新たな機構や地上での骨格筋維持・ホメオスタシスにおける重力の役割を教えてくれるでしょう。
[コメント]
私たちは、ゼブラフィッシュを宇宙ステーションに打ち上げ、六週間の滞在に成功しました。彼らは、驚くほど早く学習し、無重力の中で泳げるようになりました。さらにトランスクリプトーム解析をすることによって、地上の生命がいかに頑強で可塑性があるかを知ることができました。私にとって、このようなことを発見できたことが、宇宙科学への関わりによる収穫だったと思います。
株式会社資生堂/研究員
東京大学医科学研究所で博士号を取得後、米国NIH、Harvard大学への留学を経て、資生堂に入社。心理学的・生理学的・生化学的手法を用いて、主に皮膚の免疫機構の研究に従事。
[コメント]
JAXAの地上閉鎖環境試験施設を利用してストレスに関する共同研究を行い、生理的な変化、皮膚の変化に関する知見を学術雑誌に発表してきました。JAXAと共同での基礎研究は、地上での一般市民の生活にも利益をもたらします。今後は、実際に低軌道滞在、月面滞在の機会を利用して、健康な皮膚を維持するためのソルーションを開発していきたいです。
持田製薬株式会社/フェロー
日本学術振興会 監事、東北大学 客員教授、横浜市立大学 客員教授、高エネルギー加速器研究機構 経営協議会機構外委員、宇宙航空研究開発機構 きぼう利用推進有識者委員
[コメント]
薬の標的となるタンパク質の構造解析を目的として、蛋白質構造解析コンソーシアム(製薬企業22社加盟)は放射光SPring-8に専用ビームライン(2002年~2011年)を保有しました。私は、コンソーシアムの幹事長(2001年~2006年)として、この世界最高レベルの放射光を十分に活用するために、宇宙空間における高品質なタンパク質結晶生成を推進しました。JAXAとコンソーシアムの協力活動に関する協定締結(2002年)以降、製薬会社による宇宙空間の利用が促進されました。今後、様々なライフサイエンス分野での産学官による「きぼう」有効利用とその成果、波及効果に期待します。
ペプチドリーム株式会社/取締役副社長
1998年に東京工業大学で博士を取得後、三菱化学医薬部門、ノバルティスファーマの日本法人を経て、バーゼル本社で抗癌剤の研究開発に従事。2014年にペプチドリーム社に合流し、2018年より取締役副社長。
[コメント]
創薬研究における、化合物とタンパク質の共結晶化及びX線構造解析の重要性は以前にも増して高まってます。特に難易度が高いとされているタンパク-タンパク相互作用や膜タンパク質に対する創薬(出発化合物の同定やさらなる最適化による臨床開発候補化合物の取得)においては、X線構造解析は必須と言っても過言ではありません。しかし一方で、それらのタンパク質そのものの結晶化も化合物との共結晶化も極めて難易度が高いのも現実です。きぼう実験棟での微小重力環境下での結晶化は、これらの問題点の解決に大きく貢献してくれると考え、実際に、いくつもの事例で、これまで地上の実験ではほぼ不可能と思われていた結晶化に成功しています。
岩手医科大学/准教授
博士(薬学) 2002年、長岡技術科学大学大学院単位取得退学。同年、昭和大学保健医療学部助手、2007年講師。2008年より岩手医科大学薬学部助手、2009年助教、2017年より現職。専門は構造生物学
[コメント]
人類は1940年代のペニシリンの実用化により、1950年代には数十歳も寿命を延ばすことができました。しかしながら、抗菌薬の濫用や新しい抗菌薬開発の停滞によって、極めて近い将来に抗菌薬のない時代が到来すると言われています。私達は2011年に始めた宇宙実験による成果から、歯周病菌や多剤耐性菌の増殖を抑える化合物を見出し、新しい作用機序による抗菌薬の開発を目指しています。2011年に始めた宇宙実験は、震災で被災した私達にとって、当に「きぼう」の光でした。国際宇宙ステーションと日本実験棟「きぼう」が今後も人類の希望と未来を支えるプラットフォームとして活躍してくれることを心より願っています。
日本医療研究開発機構(AMED)/調査役
北海道大学大学院薬学研究科修士課程終了。アステラス製薬株式会社に入社し、20年以上に渡ってMedicinal Chemistryに従事。2015年からAMEDにてアカデミア創薬を推進している。
[コメント]
これまでに、微小重力下におけるタンパク質結晶化実験で、数々の成果をあげていますが、今後のさらなる成果に期待しています。特に、中分子の構造解析に使用するための大型結晶の作製や多種類の分子からなる生体複合体の結晶化を可能にする技術開発を進めてほしいです。また、高齢化社会を迎える中、老化研究にも大きな期待を寄せています。
インタープロテイン株式会社/社長
弘前大学現農学生命科学部分子生命科学科卒、シェリングプラウ(株)を経て、キリンビール(株)医薬事業本部(現協和発酵キリン)、その後、2015年にインタープロテイン(株)に入り、翌年より現職
[コメント]
2011年からJAXAと共に微小重力環境下での結晶生成に取り組み、地上で困難な結晶生成の条件検討および宇宙における結晶生成とその構造解析精度向上の実証を図って来ました。特に低分子やニューモダリティーの創薬においてX線結晶構造解析は重要であり、地上で困難なケースが多い事も周知されており、きぼう利用の価値は、今後、大きく期待されていると思われます。
日経BP総研クリーンテックラボ/上級研究員、リアル開発会議/編集長
日経BP社 日経BP総研 上席研究員 兼 リアル開発会議編集長。1997年日経BP社入社。『日経バイト』『日経コミュニケーション』『日経エレクトロニクス』記者、副編集長を経て現職。
[コメント]
宇宙に関連したビジネスが今後伸びていくことに疑問の余地はありませんが、多くの企業にとって何をとっかかりにして、どのようなビジネスに参入すればよいのか、わからないのが現状です。来場された皆様と一緒に、宇宙ビジネスへの参入の方法を一緒に考えたいと思っています。
株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所
ソニーCSLにおける衛星光通信の研究リーダー。専門は応用光学。2016年よりJAXA主幹研究開発員を兼任。パロアルト研究所客員研究員、ソニー(株)Distingulshed Resarcherを歴任。
[コメント]
米国在住時に多くの宇宙ベンチャーを目の当たりにし、宇宙がこれほどまでに身近なものになったことに衝撃を受けました。日本でも研究を開始するときに米国との環境差に不安はありましたが、きぼう利用による研究開発が可能であることは、米国のスピードに勝るとも劣らない環境であり、私にとっての2回目の衝撃でした。きぼう利用が衝撃的ではなく当たり前の環境となり、数多くのチャレンジができる社会になってほしいです。
株式会社大林組/主任研究員
1967年生。1993年名古屋大学大学院工学研究科建築学専攻修了・コンクリート工学、同年株式会社大林組入社。建設用コンクリート材料研究、現在、技術研究所にて、宇宙実験・各種材料開発に従事。
[コメント]
大林組は、東京スカイツリー®の建設を契機として究極の高い構造物を目指して、「宇宙エレベーター建設構想」を発表しました。このうち、ケーブルの素材を想定し、日本実験棟「きぼう」の船外曝露装置で、宇宙空間での耐性を調べる実験を行いました。このような宇宙実験を契機に、建設業も宇宙利用に踏み出していく道を探っています。
三井物産株式会社 航空・交通事業部 航空事業室/室長
三井物産モビリティ第二本部にて航空・宇宙・防衛領域を担当。三井物産は米Space Flight Industriesを初め、衛星製造、衛星データ処理分野で取組みあり。
[コメント]
三井物産はきぼう実験棟を通じた超小型衛星放出に加え、米Space Flight Industriesを通じた50kg~500kgの衛星放出を通じ、実証実験からコマーシャルスケールまで多種多様な衛星打上げニーズに対応しています。
株式会社パスコ/社長
千葉大学工学部写真工学科卒業、同大学院工学研究科修士・自然科学研究科博士課程修了。1981年パスコ入社後、取締役・常務取締役を経て2018年6月より現職。博士(工学)。(一社)日本リモートセンシング学会副会長。
[コメント]
計測や測量技術、AIを実装したデータ解析技術の進化には、未来社会を創造するための最先端技術として大きな期待が寄せられています。特に、宇宙空間から地球上を観測する技術の進化は目覚ましく、境界にとらわれない広域の定時・定期観測が可能な衛星活用の可能性は無限に広がっています。
パスコは、人工衛星・航空機・ドローン・車両・船などのあらゆる視点からリモートセンシング技術を駆使し、社会の課題解決に向けたサービスを創り出しています。そして、20基を超える取り扱い衛星と北海道・沖縄に所有する地上局、2005年から本格化した衛星活用事業で積み上げてきた実績とノウハウをもとに、新たな宇宙利用の分野に挑戦します。
JAXA/有人宇宙技術部門事業推進部長
有人部門の事業推進部長です。計画、予算、広報、法務など部門の全般管理を担当しています。
前職は有保室長として、部門のほとんどのハードウェア・手順の安全審査を実施しました。
[コメント]
今ISS/きぼうから得られている実験成果は、現在の地上の人々にも役立つのみならず、将来人類が宇宙へ進出するときに必要な様々な知識でもあります。今NASAや日本が参加してGatewayの開発に進もうとしていますが、ISS/Kiboの価値は不変です。より遠くの月軌道・月面を目指す活動と、近い場所である低軌道をもっと身近にする活動を両立させるのが、人類の未来の姿であると信じています。
NanoRacks/CEO
Jeffrey has served as the CEO of NanoRacks since 2009, growing the company into the first commercial space station company with customers. He brings to the company unique experience in making space just another place to do business. Before NanoRacks, Jeffrey helped establish the Office of Space Commerce with the Reagan Administration’s Department of Commerce, serving as a voice for private industry in space. Afterwards he became the only American to officially work for the Russian space program, serving as Managing Director of Energia USA. Under Jeffrey’s leadership, NanoRacks was a pioneer, and now the leader, in the commercial market for low-Earth orbit utilization. For the future, Jeffrey is increasingly focused on populating the solar system with commercial space station platforms, owned and operated by NanoRacks.
[コメント]
Started as a self-financed private company in a storage facility space in 2009, NanoRacks has disrupted the market for low-earth orbit services. We developed the first US commercial CubeSat deployment program as well as the first commercial successful biomedical program. We have proved that there is a commercial LEO market and have pioneered US/international commercial participation on the Space Station. Additionally we have developed Unique Operational Expertise in Commercial Relations with NASA, JAXA, and other ISS space agencies.
NanoRacks has deployed over 230 satellites from the ISS and has flown over 700 customer payloads on over 35 missions to the ISS. We have installed and commissioned new research and scientific equipment that have resulted in the creation of new business lines. We are currently constructing the Bishop Science Airlock.
We look forward to expanding commercial operations through the operational lifetime of the ISS as well as on other platforms in Low Earth Orbit and beyond.
フリーアナウンサー
1971年6月10日東京生まれ。1997年NHK入局。2003年東京アナウンスへ異動。「おはよう日本」「正午ニュース」、国会中継も担当し郵政解散など小泉政権を伝えた。2011年東日本大震災の際には、約1ヶ月間にわたりスタジオキャスターをつとめた。2018年1月NHK退社。
[コメント]
遠くのこと、関係のないこと。宇宙に対してそんなイメージを持つ人、いらっしゃるのではないでしょうか。私もそんな1人でした。私は放送の仕事をしてきましたが、宇宙との繋がりと言えば「衛星に電波を飛ばして中継する」。この程度でした…。いま、宇宙をめぐる状況は大きく変わり、宇宙ビジネスは世界の潮流で30以上の国が投資をしている。中でも地球低軌道市場は注目が高いと言う。一体、何が出来るのか?
2019年、宇宙への好奇心、始めてみませんか?
脳科学者
1962年10月20日東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、ソニーコンピューターサイエンス研究所・シニアリサーチャー。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文藝評論、美術評論などにも取り組みながら、作家、ブロードキャスターとしても活躍の幅を広げている。2012年にはTEDカンファレンスで日本人初のスピーカーとして登壇。著書の国内出版は200冊を超え、2018年に初の英文による書籍『IKIGAI』を出版。世界各国で順次出版中。その活動を世界に広げている。
[コメント]
宇宙開発は、本格的に民間主導で行われる時代を迎えており、そこにイノベーション論でいう「ブルーオーシャン」があります。無重力の空間でこそできる実験や検証、開発は、今後の文化、経済の発展に欠かせません。一方、宇宙に目を向けることは、人類の脳が次の段階に進化する上で必須です。宇宙に出て地球を見ることは最も劇的な「メタ認知」(外から自分を見ること)の実践であり、人類の意識段階を大いに進めることになると期待します。地上では、人工知能が「シンギュラリティ」を迎えるという議論が盛んですが、人類の意識もまた、宇宙に出るという点において「宇宙的シンギュラリティ」を迎えるべき時期に来ていると言えるだろう。
慶應義塾大学大学院/教授
1986年3月、一橋大学経済学部卒業。同年4月、通商産業省入省。総務大臣秘書官、慶應義塾大学DMC統合研究機構助教授などを経て、2008年4月、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授に就任。
元JAXA宇宙飛行士
宇宙飛行士。2010年スペースシャトル・ディスカバリー号搭乗、ISS組立補給ミッションSTS-131に従事。JAXA退職後、内閣府宇宙政策委員会委員、一般社団法人スペースポートジャパン代表理事など。
[コメント]
宇宙飛行士になる前はJAXAで「きぼう」開発に携わり、2010年にISSに滞在した際には、「きぼう」で使用する実験装置や試料を取り付けたり、地上に持ち帰ったりしました。現在は、宇宙政策委員会委員としても、「きぼう」が将来の技術実証に繋がること、社会に貢献すること、多くのユーザーが参画できる場となることを期待しています。
JAXA/きぼう利用センター企画グループ長
1994年4月、宇宙開発事業団(現JAXA)入社。2004-2006年、内閣府(科学技術政策担当)勤務。2018年4月より、JAXAきぼう利用センターきぼう利用企画グループ長及び国際調整担当。博士(工学)
[コメント]
入社以来、宇宙環境利用及びISS計画に関する業務に従事し、最近では「きぼう」での小動物利用研究や国際調整を推進してきました。現在はきぼう利用戦略の策定等を担当しています。「きぼう」が科学研究や技術開発の分野で優れた成果を蓄積し、地上社会や将来の日本の有人技術に不可欠な軌道上の研究開発プラットフォームとして幅広く認識されるよう、戦略的な取組みを推進したいと思います。
JAXA/きぼう利用センター主幹
きぼう利用センター 技術領域主幹、博士(理学)
医学部教員として約10年間、人体解剖や組織学の医学教育のほか、腎疾患にかかる基礎研究を行って来ました。2013年JAXA入社。宇宙マウス飼育ミッションを立ち上げからプロジェクトサイエンティストとして担当。
[コメント]
「あこがれ」だけではなく、宇宙をより近くに「実感」してもらいたい。
2030年には75歳以上人口は現在より500万人以上増え2200万人を超えることが想定されています。現役世代の支えを可能な限り受けないよう「死ぬまで健康に生活できる」ことがより求められる時代になっていると思います。最先端の科学技術を用い「より高みへ、より遠くへ」行くだけでなく、「宇宙利用」をより生活・人生に密着した形で国民に還元するサイエンスを生み出すことを意識し、宇宙を実感してもらえるようしたいです。
NASA/ARC(Space Biology)
I am the Project Scientist for NASA Space Biology, Ames Research Center, with a doctorate in biological sciences.
[コメント]
I lead the Space Biology ISS flight science processes, working with researchers, ISS Research Integration Office, and our implementation partners. Also, I serve as the liaison to JAXA for Space Biology. NASA Space Biology conducts ISS research to advance human space exploration and scientific knowledge using a divesity of non-human model organisms.
JAXA/有人宇宙技術センター主幹
1994年に入社. 1996年より「きぼう」ロボットアーム開発を担当。現在は、エアロックを含む船外システムのインテグレーション及び、将来の有人宇宙活動に必要となるロボット技術の研究開発を担当。
[コメント]
「きぼう」小型衛星放出の放出能力の拡大や、中型曝露実験アダプタの小型実験装置の対応化など、よりユーザ目線に立って、使いやすい技術実証プラットフォームの機能拡充を進めていきたいと思います。
また、民生のロボット技術を適用し、将来の有人宇宙活動を効率的かつ安全に進めるための取り組みを推進するため、「きぼう」をロボット技術の実証プラットフォームとしての活用する取り組みも進めていきたいと考えています。
NASA/HQ(Advanced Exploration Systems)
Program Executive in the Advanced Exploration Systems (AES) division of the HEOMD at NASA HQ.
[コメント]
At AES, he leads the Small Satellites and he is responsible for several deep space missions, SPHERES and Astrobee (free-flyer robots aboard the International Space Station).
Conduct Research and STEM activities using Astrobee. Use Astrobee to assist ISS Crew. Support Japan/U.S. cooperation (JP-US OP3)
NIMS/ELF PI
国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS) 先端材料解析研究拠点 主幹研究員
統合型材料開発・情報基盤部門 (MaDIS) 情報統合型物質・材料研究拠点 (CMI2)
(公財) 高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門
JSTさきがけ
専門:非晶質構造解析
1998年 東京理科大学大学院理工学研究科工業化学専攻博士課程修了 博士(工学)
1998-2001年(財)高輝度光科学研究センター 協力研究員
2001-2003年(財)高輝度光科学研究センター 研究員
2003-2011年(財)高輝度光科学研究センター 副主幹研究員
2011-2015年(公財)高輝度光科学研究センター 主幹研究員
2015年より現職
[コメント]
我々は、国際宇宙ステーションISSの静電浮遊炉(ELF)において、地上では行えない、2000℃を超える高温でのガラス材料の液体状態の密度・粘性の精密計測を行います。そして、地上の大型実験施設SPring-8やJ-PARC、米国オークリッジ国立研究所における構造計測、さらにはスーパーコンピューター「京」等を利用した計算機実験を組み合わせた研究を試みます。ガラスは、高温の液体を急冷することにより合成されますが、「なぜ液体を冷やすとガラスになるか?」の理由の解明に挑戦します。そのための一番重要な情報である液体の密度と粘性を、この唯一無二のELFを用いて計測します。ここで得られた密度・粘性・構造といった情報はデータ科学に基づいた手法により解析され、得られた知見は、我々NIMSが目指す新規ガラス材料のハイスループット探索に役立つものとなり、将来の日本の産業界のガラス材料開発を加速させるものになります。
ELF PI
Dr. Douglas Matson is an Associate Professor of Mechanical Engineering from Tufts University.
[コメント]
Professor Matson is the chairman of the ESA Investigator Working Group running electromagnetic levitation experiments on the ISS and serves as the president-elect of the American Society for Gravitational and Space Research.
NASA/ISS Director
Mr. Scimemi is the Director for International Space Station at NASA Headquarters.
[コメント]
His duties include implementing policy and programmatic direction and ensuring safe and productive ISS operations and utilization. He engages with the White House and Congress, as well as international space agency leaders around the world regarding human spaceflight issues.
NASA/OZ Manager
Marybeth Edeen, Manager, ISS Research Integration Office
[コメント]
As the ISS Research Integration Office Manager, Ms. Edeen ensures all of the research is integrated and ready to fly to ISS. The ISS averages 300 experiments every 6 months across 6 major subdiciplines and provides benefit for Earth applications and space exploration.
有人宇宙システム株式会社(JAMSS)/元 JAXA ISSプログラムマネージャー
京都大学を卒業し、造船技師として勤務後、JAXAで「きぼう」実験棟の開発、運用利用準備に携わり、「きぼう」初期運用時のISSプログラムマネージャ。現在は、日本の有人宇宙活動の発展と商業化の試みに貢献中。
[コメント]
日本の有人宇宙飛行は、宇宙先進国の一角を占め、月以遠の有人探査を国際協力で狙える研究開発および利用能力を身に着けるところまで来ました。ISS/きぼう運用利用で培った経験と知見を生かして、JAXA主導の国際宇宙探査に、日本の優れた地上技術を応用した有人宇宙探査技術開発の官民協力につなげたいです。一方、経済創出段階に入った地球低軌道においては、「きぼう」後も続く軌道実証や基礎研究ニーズに加えて、民間ビジネス利用のニーズ掘り起こしと、その利用機会の提供を図りつつ、LEO民間プラットフォームの時代をも見据えて、商業化の国際的な潮流に乗るべく、国内外との企業連携を目指したいです。
Made In Space, Inc./CEO
Andrew Rush is President & CEO of Made In Space Inc. He oversees the operations,
business development, and strategy of Made In Space (MIS) as it continues
to push boundaries of manufacturing technology in space.
[コメント]
As the first manufacturing company to operate in space, MIS is uniquely positioned to unlock the tremendous potential of the space economy by creating the tools, infrastructure and equipment necessary for humankind to build among the stars.
Techshot, Inc./CEO
My name is John Vellinger. I am president and CEO of Techshot – a company I co-founded in 1988.
[コメント]
Techshot, develops, owns and operates equipment used inside the ISS by professional researchers. We have equipment for conducting research in space with rodents, plants, flies, cells, bacteria, tissue chips and crystals. Soon Techshot also will have a 3D BioFabrication Facility installed aboard the ISS.
NanoRacks/Chief Innovation Officer
Michael is currently the Chief Innovation Officer at NanoRacks, LLC, where he is responsible for overseeing the technical, scientific, and imaginative direction for the company. He has developed, built, and flown experiment platforms to the ISS, including the NRCSD (the NanoRacks CubeSat Deployer) system which deploys satellites from the ISS, a satellite deployer that deploys satellites off the Northrup Grumman Cygnus spacecraft, as well as a number of unique space platforms that enable space-based science, research, and education.
[コメント]
Started as a self-financed private company in a storage facility space in 2009, NanoRacks has disrupted the market for low-earth orbit services. We developed the first US commercial CubeSat deployment program as well as the first commercial successful biomedical program. We have proved that there is a commercial LEO market and have pioneered US/international commercial participation on the Space Station. Additionally we have developed Unique Operational Expertise in Commercial Relations with NASA, JAXA, and other ISS space agencies.
NanoRacks has deployed over 230 satellites from the ISS and has flown over 700 customer payloads on over 35 missions to the ISS. We have installed and commissioned new research and scientific equipment that have resulted in the creation of new business lines. We are currently constructing the Bishop Science Airlock, launching in 2019.
We look forward to expanding commercial operations through the operational lifetime of the ISS as well as on other platforms in Low Earth Orbit and beyond.
Space Tango, Inc.-President and CEO
Twyman Clements is the Co-Founder and CEO of Space Tango which builds high value proudcts in microgravity for Earth.
[コメント]
Twyman oversees the intersection of business and proudct design at Space Tango which sees the ISS as a incubator to gather directional knowledge, determine valuable applications as well as understand the unit economics of scalable production. Depending on the launch the company operates two to three facilites on ISS and since Feburary 2017 has flown on 10 missions with 64 Payload and 104 experiments run.
Airbus/Bartolomeoプログラムマネージャー
Program Manager "Bartolomeo All-in-one Space Mission Service", Airbus Defence and Space GmbH, Germany
[コメント]
The new Airbus "Bartolomeo" external ISS payload platform is developed for commercial utilization. Becoming available in early 2020, "Bartolomeo" is able to host any payload sizes up to 450 kg in the most versatile and cost-efficient way. Bartolomeo welcomes any commercial and institutional user.
Space BD株式会社/CEO
総合商社勤務、教育事業による起業を経て、2017年9月「宇宙商社」Space BD設立、2018年5月JAXAよりISS「きぼう」衛星放出事業の民間事業者に採択
[コメント]
当社はJAXA初となる民間開放公募案件により「きぼう」からの超小型衛星放出事業者に選定され、同事業を軸に「きぼう」商業利用を当社戦略の中核と位置付けて地球低軌道商業化に挑んでおります。
JAXA/新事業促進部長
1991年NASDA入社。ISSプログラム及び民間利用の推進、ロケットの民間移管、パリ駐在、宇宙教育、宇宙産業強化・宇宙利用拡大、衛星データ利用推進、ワシントン駐在などの業務を経験。2018年7月より現職。
[コメント]
NASDA入社直後に担当したのが、きぼう民間利用のための基本方針作りと第1回きぼう利用公募でした。あれから20数余年、宇宙ステーションの民間利用が普通のこととなり、さらに商業化の議論が起きています。また、ISS以外にも小型衛星や民間ロケットなど、多くの宇宙ビジネスが出現し、官主導から民主導の時代と変わりつつあります。そして、これからは宇宙でイノベーションを起こす時代です。JAXAも民間企業と一緒にビジネスを共創する「宇宙イノベーション・パートナーシップ制度(J-SPARC)」を立ち上げました。一緒に世界を変えましょう!
※プログラムの内容は変更となることがあります